ともかく私は常識的に 『助からない』
と思い込んでいた。
自分が生きているという事実さえ、かなりあやふやな状態なのである。
であるから。
いつの間にか見覚えのないスライムにまとわり付かれ、
戦いもせずに拘束されてしまったからといって、あまり責めないでやって欲しい。
「生きてる……? 何だかべちょっとしたモンが……ぎゃっ!?」
そこまで言いかけた時に、ようやく息を呑んで驚いた。
ぼやけた視界に 「何だか動いているなぁ」
と思っていたら、
その、緑色のぐちゃぐちゃが、まさかモンスターだったとは。
ナジミの塔から落ちて、
死んだと思っていた精神的ショックなのか、
私の身体はいまだに動いてくれなかった。
これが噂のナメクジ責めか。 いや、そんな噂は知らないけど。
皮膚の上を、冷たい異物が流動する。 とっても不快で鳥肌が立つ。
ぬるぬる、ぐちゃぐちゃ、ぬるぬる、もみもみ
抵抗できない私の身体をとり囲み、まるで遠慮のない動きで、
バブルスライムたちは私に覆いかぶさってくる。
「や、やっぱり死ぬのかな、私……
スライムなんかに食べられるって、情けなさすぎる……」