vsバブルスライム 3/7
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「て……天国か……?
 死んだ父さんと母さんはどこだ……」

昼間から飛び回る星に向かって、とりとめもない台詞がこぼれ出す。

この時は知らなかったのだが、
私の身体には、なぜか精霊ルビスの加護が働いていたらしい。
ゆえに自然の力では、傷一つつかない状態だったという。

その割には、ずいぶん痛かったような気もするのだが……


ともかく私は常識的に 『助からない』 と思い込んでいた。
自分が生きているという事実さえ、かなりあやふやな状態なのである。

であるから。

いつの間にか見覚えのないスライムにまとわり付かれ、
戦いもせずに拘束されてしまったからといって、あまり責めないでやって欲しい。

「生きてる……? 何だかべちょっとしたモンが……ぎゃっ!?」

そこまで言いかけた時に、ようやく息を呑んで驚いた。

ぼやけた視界に 「何だか動いているなぁ」 と思っていたら、
その、緑色のぐちゃぐちゃが、まさかモンスターだったとは。

ナジミの塔から落ちて、 死んだと思っていた精神的ショックなのか、
私の身体はいまだに動いてくれなかった。

これが噂のナメクジ責めか。 いや、そんな噂は知らないけど。
皮膚の上を、冷たい異物が流動する。 とっても不快で鳥肌が立つ。

ぬるぬる、ぐちゃぐちゃ、ぬるぬる、もみもみ

抵抗できない私の身体をとり囲み、まるで遠慮のない動きで、
バブルスライムたちは私に覆いかぶさってくる。

「や、やっぱり死ぬのかな、私……
 スライムなんかに食べられるって、情けなさすぎる……」

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