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SCENE 3 フルフル側の事情
絶境にただ一頭、殺戮から生き残っていたフルフルのお話
人間とフルフルという二つの種の間に
怪しい対立の気配が霧となって立ち込めていた。
やがて霧は暗雲となって、雪山全体に影を落としていく。
ザザミ娘とキリン娘は、まだ自分たちの運命が影の中に呑まれつつあることを知らない。
ところで影に飲み込まれる人間は、決してこの二人だけではなく
男女を含めてかなりの人数が、この事件に巻き込まれていくことになる。
すでに帰らぬ人と成り果てたボーン娘もそう。
そしてここにもう一人、異種間の業を背負う女性ハンターが舞台に上がる。
--
ナルガクルガの黒い革鎧に身を包んだその娘は、
遠い王都からはるばる雪の村までやってきた賞金稼ぎだ。
フルフルに賞金がかけられてから結構な時間が経っており
宝探しの流行も終息しつつあったのだが
まだこうして雪山を訪れる者もチラホラといる。
「それじゃ、そろそろ出発するかな」
いまや大穴狙いとなった、フルフルの素材を求めて。
ナルガ娘はギルド貸与のポポにまたがって
村から雪山エリアへ悠々と旅立った。
村を出て五分も経たないうちに、
ナルガ娘はキリン娘たちのパーティーとすれ違う。
上位ティガレックスという大物を仕留めての凱旋である。
ギルドを通してすでに情報を得ていたナルガ娘は
「おーい!おめでとうー!やったねえ!」
右腕を大きく振り、敬意を込めた爽やかな声をとばしながら
まだ名前も知らないハンターたちを祝福する。
パーティーの中の二人が手を振り返して返礼をする。
間もなく訪れる前代未聞の不幸を知らず
ハンターたちはみんな無邪気に笑い合っていた。
そうして第二の犠牲者は、雪山エリアに踏み入った。
--
カーン、カーン……
見渡す限り白一面の山脈に、ピッケルで岩を削る硬い音が響き渡る。
ナルガ娘がここで探していたのは、フルフルではなくフルフルベビーだ。
周囲の人々とは少し視点をずらしただけで
あっさり見つかるお宝もある。
彼女はそういうスキマの拾い物を好むハンターであった。
「ここもハズレかぁ。ざんねん」
そんなことを口にはしているが、彼女の表情は余裕そのもの。
探索を始めて既に半日が経っていた。されど、まだたったの半日である。
大量の食糧と万全の装備を持ち込んでいたナルガ娘にとって
まだまだ採取のクエストは始まったばかりだ。
ここから先は腰をすえて落ち着いて、
フルフルが仔を産み付けそうな場所を
片っ端から突付いて回ろう。
……そんな『フルフルが仔を産み付けそうな場所』とやらが
まさか自分の下腹の中にあるなどとは夢にも思わず、
「そらポポ、おいで」
岩につないだ手綱をほどいてポポを曳き寄せると
ナルガ娘はひらりと飛び乗り、次の採掘ポイントを探しにかかった。
日向ぼっこの余韻で、ポポの毛皮はとても暖かくて心地よい。
昼寝を中断させられたポポのほうは、とても眠たそうにのそのそと歩く。
一人と一頭が、ゆっくりと雪の谷を越えていく。
もうそこから先は、いわゆる『雪山エリア』の外側に当たる地域なのだが……
--
雪山エリアからずいぶん離れた上空を
最後の一頭となったフルフルが飛翔している。
ボーン娘と交尾していた、あのフルフルだった。
普通のフルフルが獲らないような地虫を拾い
普通のフルフルが食べないような岩ゴケをすする。
幼き日に絶境に落とされて、帰る道を失ってしまった運の悪いフルフルは
文字通り岩にかじりついて必死に食をつなぎながら
なんとか成体になるまで生き延びてきた。
彼にとって生きるということは、そうそう容易いことではなかった。
だがそうやって生命の世界からはぐれて暮らしていたお陰で
ハンターたちの組織的な乱獲から死を免れたと考えるなら
やはり命のシステム、自然の多様性というものはよく出来ていた。
幸か不幸か、ナルガ娘の洞察は非常に的を得ていた。
ふつう探さない物を、ふつう探さない場所で探す。
そういう思考に従って雪山エリアから大きくはみ出していた彼女の軌跡は
はぐれフルフルの縄張りと、外側ギリギリの地点で重なっていたのだ。
上空を飛ぶフルフルの視界に(視界といっても、フルフルに眼は無いが)
ナルガ娘の黒い鎧がゴマ粒のように見えていた。
フルフルの異常に発達した嗅覚は、すぐさまナルガ娘とポポの肉香に釘付けになる。
フルフルの身体の奥から、沸騰するような本能の力が突き上がってくる。
その衝動は食欲ではなく性欲だ、
雪の中で倒れているボーン娘を見つけた時と同じだった。
むろんフルフルの肉体は酷い飢餓状態でもあったのだが
遺伝子は超越的な力で同族の滅亡を知っていた。
飛竜の本能は、食べることよりも子を残すことを優先して……
股間から、メキメキと雄の生殖器を屹立させていった。
--
フルフルとは本来、雌雄同体の生物である。
繁殖期になると先に発情した個体が一時的に男性化して
別のフルフルの生殖孔にペニスを突き刺す。
オスが相手に興奮物質と排卵誘発ホルモンを流し込むことによって
相手のフルフルはメスとして急速に発情する。
つまり能動的に発情した個体はオスに、
受動的に発情した個体はメスに変化する仕組みだった。
(フルフルは人間よりずっと大きな身体をしているが、
その生命のメカニズムは原始的で、ある種の魚類にも似ていた)
だがいまや、『別のフルフル』というものが存在していない。
だからなのだろうか、まるで遺伝子そのものに意思でもあるのか。
フルフルとして最後に生き残っていたこの個体は
絶境に奇跡的に見つけた異種のメスに対して
はげしい性的反応を起こしたのである。
--
ナルガ娘は鼻歌交じりにピッケルを振っている。
その後方、約200メートルほど離れた岩陰に、
フルフルは静かに静かに着地した。
フルフルは基本的に人を捕食しないため
彼らに「獲物」として狙われたハンターは滅多にいない。
ナルガ娘は「狩る者」の側に回ったフルフルの怖さを知らなかった。
フルフルは足の裏から強力な粘着液を滲ませると、
地面ではなく切り立った崖岩の上を通って
壁歩きしながら獲物に接近しはじめた。
アルビノ種の白い体表は雪山において保護色となり、
その慎重な足運びは、普段とまるで別物である。
わずかに雪を踏む音さえしない、完璧な無音での奇襲だった。
彼らフルフルもまた、見事としか言いようがない”ハンター”だったのだ。
そうと知らずに、かんかんとピッケルを振っていたナルガ娘が、
フルフルの電撃ブレスの射程内におさまった。
フルフルの口は静かに帯電していき、
やがて臨界を迎えると、白い狙撃の電光を一筋に収束させて発射した。
バチッッッッッ
「ぎゃんっっっ!!?」
短い悲鳴が凍った谷に響きわたった。
「あっ…… か……?」
ピッケルを握ったままのナルガ娘は、数秒硬直したあとゆっくり重心を失って、
柔らかく積もった粉雪の中にどさりと倒れこんだ。
「な…… に……が……」
あまりに唐突すぎて、雪上に倒れてもなお
彼女はなんで自分が倒れているのか分からなかった。
まだわずかに帯電した全身で、運動神経が完全に無力化されていた。
(こ、これはもしかしてフルフルの……)
そこまで思いが至ったときに、今度はばっさばっさと重い音を立てながら
大きな大きな飛竜の影が、日ざしをさえぎってナルガ娘を包み込んできた。
「ビン……ゴ……」
口ではそう強がるものの、
彼女の心の中にも、大きな大きな絶望の影が広がっていた。
・
・
・
--
油断していた。
成体のフルフルはもう見つからないと諦めていたし、
見つけたところでナルガ娘にとって、フルフルなどいまさら手こずる相手でもないと考えていた。
……それはあくまで、ナルガ娘が狩る側に回った場合の話だと
彼女はフルフルに捕らわれたまま痛感していた。
フルフルが狩る側に回った場合、これは完全に未知の脅威だったのだ。
フルフルの足で宙吊りにされたまま
ナルガ娘はいくつもの山と谷間を飛び越えていく。
ようやく終点が見えた頃には、
空の上からでも雪山エリアが遠くて見えない。
これでは完全に遭難である。
飛竜は洞窟に舞い降りた。
麻痺したままのナルガ娘を足から口に持ち替えて、
暗い地下のねぐらに引きずっていく。
「ぁ……う…… い、いやぁ……」
フルフルのブレスにしては、肉体へのダメージが小さかった気がする。
だがその割には、いつになく長い麻痺に拘束されて
一向に治る気配がない。
フルフルはボーン娘の死から力かげんを学習して、
ナルガ娘の肉体を絶妙の麻痺状態へと戒めていた。
自分では少しも動けないまま地下へ地下へと運ばれて、
ナルガ娘は生きたまま地獄に連れて行かれる心境だった。
「こ、このままじゃ……」
喰われてしまう、死んでしまう。
もともと色白なナルガ娘は、ますます蒼白になって恐怖に震えた。
ハンターの心を支えるものは、常に自分の腕前である。
その身体が動かないとあっては、ハンターといえど心を守るすべがない。
もちろんフルフルにとって、獲物の恐怖心などはお構いなしだ。
洞窟をさっさと奥に進んで、いくつかの分岐路を通り、
小部屋のような行き止まりまでたどり着いてから
口に咥えていた娘をそっと地面に降ろすのだった。
「あ……あ、あ……」
(もうおしまいだ……)
無念の涙が、固く閉じた目からこぼれる。
瞼ぐらいは固く閉じることが出来ても、手足の力はまるで戻っていなかった。
運搬を終えたフルフルがのんびり食事を始めたところで、
エサにされるナルガ娘は、どうすることも出来ないのだ。
そんな無抵抗な女ハンターをうつ伏せにころんと転がすと
フルフルは彼女の手足を固めにかかった。
先の壁歩きで使った粘着液だった。
目を閉じて震えているうちに、ナルガ娘の四肢は
べっとりと岩の床に塗りこめられてしまっていた。
このフルフルは苦労を重ねてきたせいか、並の個体よりいくぶん賢かった。
電流と麻痺の力加減をすぐに学習したのもそうだ。
そして麻痺が解けないうちに、ナルガ娘を拘束してしまうのもそうだった。
フルフルは交尾の途中で、ボーン娘が逃げ出した時の失敗をよく覚えていたらしい。
ほどなく粘着液が乾いて丈夫なゴムのように引き締まり、娘をがっちりと捕まえていた。
もう麻痺が消えたところで、独力での脱出は不可能だった。
しかし、すぐに食われて死ぬものだと怯えていたナルガ娘にとって、
念入りに拘束されたという事実は、逆に小さな安心を得ることになった。
「こ……これって……?」
(保存食にでもするつもりなのかな……
だとしたら……だとしたら脱出できるかも、死なずにすむかもしれない……!)
ナルガ娘はフルフル相手に「そういう」発想がなくて気付かなかったが
彼女は今、とても恥ずかしい格好で固定されている。
布地の少ない股間は大きく左右に開かれて、腰は高く浮き上がっている。
オスに向かって性器を突き出すその格好は、交尾を待つ雌犬そのものの姿勢だった。
だけど意識するまでは、恥じらいというものは生まれない。
ナルガ娘は開脚の前屈を特になんとも感じずに、
フルフルの意図も分からないまま、ひたすら脱出の機会を探っていた。
「あうっ……」
そんなわけで全く無防備にさらされていた彼女の性器に、
衣服越しに、フルフルの熱いペニスが押し付けられたときにも
ナルガ娘はとくに驚くことなく、じっとそれをやり過ごそうとしていた。
人間とよく似た形状のそのペニスは
熱く脈打ちながら彼女の股間を前後にこする。
表面からは大量の体液を……
くだんの、中性のフルフルをメスに変える体液を大量に分泌しているために、
ナルガ装備の黒いパンツはあっという間にべっとりと濡れた。
「え……? え……!? ちょ、ちょっと、何を……!?」
そうこうしてフルフルが興奮の吐息をナルガ娘に吹きかける頃、
ようやく彼女も、ただならぬ状況に気が付いた。
思い切りの抵抗心が、麻痺した腰をわずかに動かす。
だがそんなことで何が助かるわけでもない。
むしろフルフルの動きに対して、濡れたパンツが摩擦で秘部からずれてしまった。
やがてフルフルの亀頭はその花弁の中央に女の入り口を探り当てると
大量の体液に潤滑しながら、ずっぷり膣内に侵入していく。
「ちょっ、うそっ、う、うわああああああああああああああっ!!?」
ナルガ娘は処女ではなかったが、
太いビール瓶のようなサイズのペニスが身体の中に押し入ってくると
裏返った悲鳴を上げて我を忘れた。
「あっ……はぁっ……!!」
今になってようやく、ナルガ娘は自分のとんでもない姿勢に気が付いた。
フルフルに向かって、ではなく、
”オス”に向かって広げられている自分の股間を慌てて隠したくなった。
だがもちろん両脚はびくともせず、腕も固められていて股まで届かず、
そしてその股間のど真ん中には、オスとメスとの連絡通路が突き立てられているのだった。
(こ、この格好……まるで動物の交尾じゃ……!)
まるでも何も、彼女はいままさに交尾中だった。
それを事実として認識すると、心の中からみるみる羞恥心がせり上がり
そのまま顔から溢れ変えると、彼女の頬が真っ赤に染まった。
ナルガ娘が赤面している間にも
巨大な陰茎はさらに奥へと突き進んでくる。
「あっ……う、うわ……あ、あ……」
飛竜種が人間の女に、なぜこんな真似をしてくるのか。
とにかく今はどうにもできない、
ただ相手を変に刺激しないようにしながら、黙って耐えてやり過ごすしかない。
ずぷずぷずぷ……
「ぐっ……くぅううう……!」
挿入の速度はゆっくりとしたものであったが、飛竜の体重に支えられているため恐ろしく重い。
性器のサイズ差をものともせずに、ハンターの女肉の頑丈さに任せて、
フルフルの肉塊は重機のような融通のない力に押されながら、一気に子宮口まで迫ってきた。
「うぐっ…………!!」
太い杭はそのままズンと奥にぶつかり、それでも前進を続けながら、
腹部の内臓全体を5センチほど押し上げたところでようやく止まった。
「うっ…… は……!」
声はまともな言葉にならず、唇だけがパクパクと開閉を繰り返す。
のどの奥を指で突いて、涙目にえづいた時の顔だった。
ナルガ娘は酸欠の金魚のように呼吸を求める。
膣内にある筋肉のリングはどれもこれも千切れそうなほど押し広げられ
耳に親指をねじり込んだような、それを何十倍にも増幅したような
肉をこじ開けられる激しい痛みに襲われていた。
(い、いやあ……ガバガバになっちゃう……!)
だがそんな無法な痛みとともに
肉の奥底にじんわり広がる、甘い熱がひそかに広がり始めていた。
『フルフルは本来、雌雄同体の生物である』
ナルガ娘の胎内にゆっくり拡散していくこの熱。
男性化したフルフルが、ホルモン入りの体液によって
相手の肉体を女性化しようとしているのだ。
だが恐ろしいことに、ここでいう女性化とは
相手の胎内を“メスのフルフル”に変える、という意味だった。
ナルガ娘の子宮から太ももまで溢れ流れる体液は
子宮を持つ生物にとって危険極まりないホルモン剤の一種だった。
「はっ…… はっ…… うふぅ……」
何も知らないナルガ娘は、肩で短く息をしながら脱出の機会をうかがっている。
痛みは徐々に消えていき、代わりに炭火のような疼きが下腹部を覆う。
その熱が自分の胎内を作り変える反応だと知っていれば
彼女は黙って耐えるどころか、半狂乱になって抵抗していたことだろう。
「うっ……ふぅ……?」
気づいた時には身体にスイッチが入っていた。
彼女が心中に抱いた不安と疑問はいうまでもない。
汗は乳房の谷間をつたい、乳首や陰核は痛いほど勃起している。
(あ……な、なんで……?)
そんなナルガ娘の全身から、汗に混じってメスの匂いが立ち上ってくると、
フルフルは膣に突き刺していた肉刀を、女体からゆっくり引き抜きはじめる。
「はうううう……!!」
膣内から長い肉茎があらわれるにつれて
桜色に上気したナルガ娘の尻がピクピク震える。
白い湯気につつまれながら、ペニスは膣の入り口まで抜け出してから、
完全に抜ける直前でぴたりとその動きを止めて、今度は逆に侵入をはじめ、
わななくメスの肉孔をまたもや一気に貫通してきた。
「あっ! ふぁああああ……っ!!」
二度目の挿入は、誤魔化しようのない快感に包まれていた。
自分の口から漏れる甘い声が、ナルガ娘には信じられなかった。
思考が乱れる。身体中がオスを求めている。一体どうして。
「はぁっ……! はぅ……!」
すっかりスイッチの入った下半身はナルガ娘の制御を離れていた。
胎内に息づく巨大なオスからあまりに心地よい熱が伝わってきて、
彼女は盛った雌猫のように、腰を高く浮かせて震えていた。
子宮が、卵巣が熱く疼く。
普段は場所も分からないような器官たちが、高熱を発しながら脈打っている。
ナルガ娘はそんな自分の身体の状態がとても恐ろしかった。
「あんっ…… うっ……!」
(逃げなきゃ……逃げなきゃ……!
こ、このままじゃ……私、壊される……!)
わななく四肢に力を込めるがダメだった。
手足を固定している大量の接着液は、いまや硬質なゴムのように固まっている。
これでは四つんばいの姿勢から、独力で逃げ出すのはとうてい不可能だ。
膣を貫く陰茎からも、脈動にあわせてさらなる体液が分泌され続け
いよいよナルガ娘の内性器全体まで染み渡ってしまった。
脇の下から、太ももの付け根から、真っ赤になった耳たぶの裏から、
ナルガ娘の肉体は強い発情臭を放ち始めた。
フルフルはよく利く鼻でそれを敏感に察知した。
ホルモンを馴染ませるために奥まで突き込んでじっと動かなかった肉塊が、
膣壁をめくりながらゆっくりと体外に引き抜かれていく。
「あっはあああああっ!!」
人間に似た亀頭の傘がトンネルの後ろ側にゴリゴリと引っ掛かり
ナルガ娘は腰から下の感覚をごっそり持っていかれてしまう。
痛みを忘れ、快楽に染まり、下半身の体重が消えたようにふわふわとして、
彼女にはっきり分かるのは、自分と繋がっているフルフルの重さだけだった。
「だ……だめ……! 流されちゃ……!」
快楽に理性を揺さぶられながら、それでも歯を食いしばって
何とか陵辱をやり過ごそうとするナルガ娘ではあったが、
ずっぷううう……
「うあっはあああああっ!!?」
しっかり腰を構えなおしたフルフルが、三度目となる挿入で膣を奥まで貫いて、
ずっぷ、ずっぷ……
「あっ、あんっ!! ひあああっ!!」
そのままとうとうピストン運動を始めてしまうと、
すでに崖ふちだった理性ではもう踏ん張りようもなくなって
ナルガ娘は頭を振り回しながら、肉悦の中へと転げ落ちていった。
「あんっ!! あっ!! あああああぁーーっ!!」
背後から女の孔をズコズコと貫かれながら、
ナルガ娘は涙の中で、絶望的な結論を下した。
まさかとは思っていたが、やはりこれはセックスなんだ。
フルフルは私を”メス”として認識したから、殺さずにこの洞窟までさらってきたんだ。
そして今とうとう、フルフルは私と子作りを始めてしまったんだ!
(いやだ! いやだ! いやだぁーーーっ!)
汗に濡れたナルガ娘の白い尻肉が、暗がりの中で左右に揺れる。
力いっぱい抵抗しているつもりなのだが、下半身はわずかに動くだけだった。
尻の動きは相手に悦楽を与えてしまい、
飛竜はますます息を荒げて腰を振る。
やがて歓喜にうねる肉ひだの奥で、盛大な射精が白い飛沫をほとばしらせた。
「あっ! あ、おおお……!」
わずかに続けていた抵抗の動きも完全に止まり、
ナルガ娘は背筋を大きくのけぞらせてわなわなと震えた。
反ったお腹の裏側で、膣が水風船のように膨らんで、
やがてその圧力が限界まで達すると、子宮口の締まりが押しやぶられて
子宮の中までびゅっと精液が飛び込んできた。
(ああっ……! なっ、中に……!!)
頬に涙がはらりと伝う。
男に抱かれたことはあっても、膣内に射精されたのは生まれて初めてだった。
子宮に子種が入ってきたのも、もちろん初めての経験だ。
「うっっっ…………!!?」
フルフルのメスとして開花しかけていた子宮の内壁は
飛竜の精子に触れた瞬間、火酒がしみるような熱さで過剰に反応する。
(こっ……これが、精液……!!)
抵抗するどころか、指一本動かせない。
オスに種をつけられて、メスとしての身体は歓喜とともに、
完全な屈服、完全な服従を示してしまっている。
「あっ……! あぁっ……!」
それにしても、いくらなんでも快楽が強すぎる。
この刺激の量に比べたら、今まで自分がしてきた人間としてのセックスなどはセックスではない。
これが、フルフルのメスの快楽なのか。
それとも体長10メートルもの生物が受ける刺激を
2メートルもない人間の身体に注がれて、どこかがおかしくなったのだろうか。
さっき胎内に流れてきた熱のことを、子宮や卵巣に疼いた脈動のことを思い出した。
ナルガ娘としては、まだ自分は人間であるつもりだったが
ひょっとしたら、自分の胎内はすっかりフルフルの臓器に作り変えられてしまっているのか?
だとしたら。
フルフルの子宮に、フルフルの精液が入ってきたら。
(こ……子供ができる……? 私、この交尾で……妊娠する……!!?)
その恐ろしい考えは、蕩けかけていたナルガ娘の心の中に、氷の杭となって突き刺さった。
精液は、いまだ脈々と子宮の中に注がれ続けているというのに。
「き…… き…………」
震える唇から、彼女はわなわなと息を吸い込む。そして、
「キャ---------------ッッ!!!
いやああああああっ!!?」
闇を切り裂く絶叫を洞窟に響かせながら、ナルガ娘は猛烈に抵抗を再開した。
手足を固める粘着液が、ギシギシと軋んで左右に揺れる。
だが……それだけだった。
「いやああああっ!! いやっ! いやあああああっ!!」
悲鳴などお構いなしの精液は、ごぼごぼと音を立ててさらに大量に注がれている。
心が嫌悪に張り裂けそうだというのに
自分の子宮は嬉しそうに精液を飲む。
肉体は、フルフルのメスとして生きる道を受け入れているのだ。
それがナルガ娘には恐ろしかった。
「あっ……! あっ……! あああ…………!!」
ヨーグルトのようなフルフルの精液は、一回の射精で約1リットルの量を出す。射精時間は一分ほどだ。
薄くて少ない人間の精液の射精とくらべれば、質、量ともに桁違いであり、
実に平均的な男性の200〜500倍もの規模だった。
「う……う……ぐすっ……」
初体験となる膣内射精でいきなり500人分もの精液を中に出されて、
タフなナルガ娘もとうとう泣き出してしまっていた。
だが無慈悲なことに、フルフルの交尾はまだ始まったばかりなのだ。
人間の男は射精すると沈静ホルモンによっていったん萎えるが
フルフルにはそういったホルモンがない。
飛竜の肉塊は射精してもまるで弱らず、
膣の中から抜くこともしないままに、交尾の二回戦を始めてしまった。
「うぁ! あっ!! そ、そんな……!」
オスのマーキングを受けて完全に征服されたナルガ娘は
もはや何の抵抗力も失っていた。
「うっ、うっ」とオスの動きに揺さぶられるまま
彼女は逃げられぬ闇の中で、なすすべもなく交尾を受け入れ続けていく。
・
・
・
--
「う……あ……」
涙とよだれで顔を汚したナルガ娘が、顔を伏せたまま弱々しく呻く。
あれから一度も竿を抜かずに、すでに四回も種をつけられてしまっていた。
「も……やめ……」
何度そう言って訴えたことか。
そして言うたびにオスに無視され、
いままた五回目の膣内射精が始まった。
「あ……お、お……」
新しい精液が古い精液を押しのけて流れ込んでくる。
ナルガ娘の腹の中で、それらは複雑な流れを描き、
あちこちに刺激ある熱を伝えていった。
「ひっく…… ひっく……」
疲れ果てたナルガ娘は感情までもすり減って、さめざめと静かに泣いていた。
短い呼吸に合わせて乳房がせり出し、地面に当たって押しつぶされていた。
彼女の背中から尻にかけては汗だくで、膝も弱々しく笑っている。
女ハンターを犯していたフルフルに緊張が走る。
以前に死なせてしまった相方のことが思い出されて
飛竜はナルガ娘の膣内からずるりと陰茎を引き抜いた。
「あっ……ひあ……」
ガバっと開いたままの陰唇から、コップをこぼしたような勢いで白い液体が溢れかえった。
息をするだけで精一杯のナルガ娘は、大きく開脚して膣口をひくつかせながら
ぐったり倒れこんで何の動きも見せなかった。
その様子を注意深く観察しながら、
フルフルはここでいったん交尾をお開きにすることにした。
ボーン娘同じ悲劇を繰り返すわけにはいかなかった。
だが実は、いま死にかけているのはむしろフルフルの方だった。
このフルフルはもともと慢性的な飢餓状態であった。
そこに新しいメスを見つけた焦りから度のすぎた交尾を行ってしまい
僅かしかない体力を大きく消耗してしまった。
最後に放った射精のときには、フルフルはめまいに襲われて、
一瞬意識が飛んでいたほどに弱っていた。
もう長くはないのだろう。
フルフルは魂のどこかでそう感じていた。
だからこそ種付けに失敗は許されない。
最後に残ったフルフルは、
フルフル種全ての運命を背負う、責任のある一頭だった。
そのためにも、今は自分とつがい相手を休ませる必要がある。
地面をわずかに揺らしながら、フルフルはゆっくりと歩み去る。
「ぐす…… や、やっと終わった…… 死ぬかと思った……」
事情の分からないナルガ娘は、そんな背中を見ながらげっそりつぶやく。
こうして、種付けはひとまず終了した。
--
ナルガ娘を見つけたとき、フルフルは本来エサを探して飛んでいた。
性的な興奮が抜けると急に食欲が刺激され
飛竜は再び外界にエサを探しに向かう。
その途中、フルフルは洞窟の中で足を止めると
とある岩かげに顔を突っ込んだ。
そこには交尾の姿勢のままで凍りついた
ボーン娘の亡骸があったのだ。
厳寒の大気は彼女の肉体をきれいに冷凍して
まるで生きているかのような、生前そのままの造形だった。
そんな彼女の凍った頬を、フルフルは優しく舐めあげた。
まだ未練が多分にあるのだ。
初めて性を交えた相手だからろうか、
フルフルはボーン娘が忘れられず、今でもこのメスとの子供が欲しかった。
だが悲しげに開いたまま凍った瞳に、再び光が戻るような気まぐれはない。
しばし佇むフルフルは、まるで黙祷を捧げているようにも見えた。
やがて再び、飛竜は歩き出していた。
昨日より明日に向かって生きる義務がある。
フルフルは洞窟の入り口から、何とかエサを見つけるために
広い雪の空へと飛び立っていった。
・
・
・
--
一時的にではあるが、フルフルの飢餓は無事解消された。
ナルガ娘が岩につないでおいたギルドのポポが
逃げることなく同じ場所で主人の帰りを待っていたのだ。
フルフルはポポの性別を匂いで嗅ぎわけ、
オスであることを確かめてから、
「AOOOH!?」
そのまま哀れなポポの首を噛み切って大きな生肉へと変えた。
(もしもポポがメスだったなら、新たな花嫁として生かしておいただろう)
フルフルにとって、ポポを食べるなど何年ぶりものごちそうだった。
人生において忘れかけていた満腹感というもので心身を満たし、
それでも食べきれない山盛りの肉は後日に残すことにして
大いに力を取り戻した翼を広げ、フルフルはねぐらに帰還していく。
骨身にしみこんだ長年の疲労までは消えないが、
胃に満たされた生肉から来る活力が、
かつてない精力となってフルフルの全身を循環している。
帰路を飛ぶうちから、フルフルの股間は熱く固くみなぎっていく。
日が落ちる頃にはねぐらに帰り着くと、
食欲の次には性欲を満たし、種の保存を果たすため、
嬉々としながらメスの部屋へと二本の足を急がせる。
それは実に野生動物らしい、素直な命のあり方だった。
--
ハンターの肉体は頑丈で、一種の超人種だという者もいる。
だがそんな並外れた体力は、ナルガ娘にとって、
今回はひどく裏目に出てしまう結果になった。
フルフルが留守をした三時間ほどの間に、
”不幸にも”ナルガ娘は連続交尾の疲労から
すっかり回復してしまったのだ。
力が戻り、麻痺も身体から抜け落ちて、
ナルガ娘はなんとか粘液の足枷から逃れようと
あれこれ方策を試してはもがき続けていた。
そんなところに、フルフルが一物をそり返らせながら帰ってきたのだ。
メスが元気を取り戻している様子を知ると、
フルフルもすっかり上機嫌になった。
股間のシンボルを左右にはしたなく振り回しながら
ドスドスと音を立ててナルガ娘に駆け寄ってくる。
「なぁぁ〜〜〜!!?」
顔を真っ赤にしながらナルガ娘が絶句した。
こちらが動けないのをいいことにヤる気満々のフルフルを見て
彼女の心境たるやいかなるものだったのだろうか。
--
「いっやーーーーーーっっ!!」
ナルガ娘のその悲鳴は、洞窟の外まで響き渡った。
「ひあっ! もう嫌っ! あっ、ああーーーっ!!」
嫌だといっても言葉は通じず、通じたところで聞くはずもない。
火照りの冷めた膣内が、またあっという間に燃え上がる。
「あっ! あっ! うっわああああああああああっ!!」
……この後、種の存亡をかけて射精しまくるフルフルに
ナルガ娘は徹底的なまでに種付けされるハメになった。
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「あんっ、あん……うっ! ううっ!!」
「GRRRRR……」
最初こそ機嫌よく腰を振っていたフルフルだったが
いつしか再び余裕は失われ、
焦りのような交尾に逆戻りしてしまっていた。
種が付いている様子がないのだ。
遺伝子の、生命そのものの声に導かれて異種のメスと交わったものの
やはりそうそう簡単には子供は出来てくれなかった。
でもいまさら迷うような寿命も残っておらず、
また、受精まであと一歩のところまで来ている感触はどことなく感じていた。
ただ生命と生命のアプローチが、何かわずかに足りてない気配だった。
絶滅の運命と壮絶に戦うフルフル。
その身体の下で揉みくちゃにされながら
何度も何度も女孔を貫かれるナルガ娘はまさにいい迷惑である。
すっかり開発されてしまった性感帯を全開にして
全身の肌を桜色に染めながら、
何とか理性を守ろうと必死に我慢しているのだが、
「こ……こんな……!
フルフルなのに……! 人じゃないのに……!!
あっ! だ、ダメっ……! あっ、あっ! あっ! あっ! あっ! あっ……」
もう何度目かも分からない射精を子宮口に直接打ちつけられてられてしまうと、
「ううっ! うああああああああああああああああああああああっ!!」
とうとう彼女は股間から大量の潮と湯気を撒き散らしながら、
フルフルなんぞを相手に性的な屈服を果たしてしまった。
我慢していた分が反動になって、死んだと思うほど盛大にイかされたのだ。
「あっ……! はぁ……! あ、あ……!」
滝のような汗につつまれながら、荒い息とともに床に突っ伏す。
大量の白濁液が女性の部分から溢れだして、
太ももの間からびちゃびちゃと水音が聞こえるほどだ。
「う……あぁ……」
あの白い泥のように濃い精液が
子宮の中まで満たしていると思うと死にたくなった。
ポポ肉で活力を得た男根はすぐにピストンを再開し、
絶頂に疼く子宮内部をかき混ぜながら、
次の射精のためにメキメキと硬度を増していく。
「あひっ……ふぁ……!」
むせ返る獣の臭いと、岩屋に充満するメスの匂い。
あとどれぐらい、子種を注がれてしまうのか。
(ハ……ハンターを夢見てた少女時代には……
想像もしなかった結末だなぁ……)
ふだん大事に守っている臓器を滅茶苦茶に突き上げられながら
ナルガ娘は遠い目でそんなことを考える。
彼女はどこか捨て鉢になりながら、
だがそれでも、それでも生きて故郷に帰るために、
絶望的な脱出ルートを必死に探し続けていたのだった。
(生存競争 第一部・体験版 終わり)
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