vsさそりばち 1/28
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品種改良レポート: §3.繁殖についての報告と注意事項
……品種としてのさそり蜂は、
現行のキラービーをベースとして、繁殖性を大幅に改善した種である。
生殖に特化した個体(女王蜂、ならびに精虫)と、
その繁殖行為と苗床の健康を人工的に管理することで
一体の母胎から平均7〜10回の孵化が見込まれている。
(原種であるキラービーは、孵化のたびに母胎を破壊してしまうため、
生産性の非効率がたびたび指摘されていた)
試作実験は順調のうちに完了し、先行繁殖した個体は
すでに相当数がアリアハン地方において実戦配置についている。
さそり蜂の制式採用がほぼ確定している現状をふまえると、
目下の急務は、牧場の増設であり、そこで苗床として使う母体の大量確保である。
残念ながら、原種が備えていた麻痺毒は、さそり蜂においては殆どが失われている。
母胎の捕獲に当たる個体には、別途、麻痺毒性を強化する個別処置が必要である。
以下の書類は、第二農場建設の際に配備された苗床の一体に関する
繁殖現場の記録文書と、今後の繁殖担当官が指針にすべき注意書きである……
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ここから語られるのは、消失した冒険の書に記されたと言われる、失われた記憶。
唐突に地上世界からさらわれて、地下の岩窟で魔の苗床にされた女戦士の
人々の耳まで届かなかった遠く哀れな断末魔である。
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