ｖｓアニマルゾンビ 1/12
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「今はまだ、帰れずの森（仮題）」

ノアニール、開放さる。

勇者一行の新たな足跡は、カザーブとノアニールをつなぐ廃れた山道にも
久方ぶりの旅人や行商人を招きいれた。

しかしそこで人々が目にしたものは、長年の瘴気のよどんだ暗がり。
エルフの呪いが解けた今なお、森は魔界に沈んでいた。

「ノアニールへ？　止めておきなさい、あすこはまだまだ帰らずの森だよ」

一人旅の女戦士は、立ち止まらなかった。
焦りのような表情を浮かべ、単身で森の中へと消えて行く。
昼間から真っ暗な、禁忌の森へと消えて行く。
そして彼女は二度と戻らなかったのだった。

この山中ルートが本当の意味で開放されたのは、
知らざれる大魔王ゾーマが異世界にて討ち果たされて後のことである。

ここから語られるのは、消失した冒険の書に記されたと言われる、忘却の記憶。
力尽き、魔に組み伏せられて散っていった女戦士の、
人の世まで届かなかった断末魔である。


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