ブロック崩し企画そのA
世界の半分外伝・勇者を追う者・その2
ナジミの塔から落ちた先
『冒険の基本は鍵にあり』という。
私は、塔の石段を踏みしめ登っていた。
誰だったか名前を失念した、有名な戦士の言葉にしたがって。
歩を進めながら、
アリアハンの牢獄に繋がれた、盗賊バコタの話を反芻する。
盗賊の鍵。
道具屋の勝手口も、レーベの老人の庵の鍵も、さらには兄の引き出しまでも。
勇者様達も、鍵を使ってこれらの道を開き、冒険の旅を広げていったはず。
その一行に追いつくためにも、私はぜひとも、鍵を手に入れる決心だ。
……念のために言っておくが、
純粋に、世界を救うための努力の一環である。
盗みを働こうとか他人のプライバシーを侵害しようとか、
そんな邪なことは一切頭にないはずであるから、
こちらに向かって石を投げるのは止めてもらえるとありがたい。
さぁ、待っていろ。私の、盗賊の鍵。
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