CGコーナー 続・孕み草紙 SCENE4
通称”クイーンズブレイド同人二期”こと
続・孕み草紙を連載するコーナーです。

ページごとに書式が統一できていなくて申し訳ないのですが
このコーナーは上から下へと順に読む形にしていきます。

基本的に全話、全CGをサイトにて公開します。
製品として登録する少し前にはこのコーナーごと削除します。
製品版に大幅な加筆をすることは今のところ考えていませんが
モノクロCGに色を乗せたり、
文章のおかしな所を手直ししたりはする予定です。
ちなみに製品版は、モザイクがキツくなったりもします。


↓是非こちらのボタンから感想などをお寄せください



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SCENE4 エリナ大興奮

4-1

どかぁん、と派手な音がして、お家のドアが木っ端微塵に吹き飛んだ。

赤毛の娘は真っ青な顔になる。
オークのレイプを忘れようと自室に引きこもっていたのだが、
これ以上逃げるような場所はない。
彼女はあわててベッドに飛び込み、頭から毛布をかぶって小さくなった。

娘と入れ替わりになって、全裸の男が立ち上がってベッドを守った。
さらわれる前に赤毛の娘が恋した青年だった。
自殺するつもりだった娘が死ぬ前にやけくそで告白したら、
意外と青年は汚れた彼女を受け入れて、そのまま恋人同士になっていた。

それから娘は彼と二人きりで心の傷を舐めてもらったのだけど、
傷がふさがる前に、オークなんかよりずっと凶暴な女が家に踏み込んできた。



「くぉらああアッ!!
 重大事件の超重要参考人が、出頭拒否とはいい度胸じゃないの!」
もちろんエリナ=ヴァンスの大声である。
赤毛の娘は毛布の中で、病的に怯えながら尿を漏らした。
心的外傷の治療は一瞬で振り出しに戻って、村人たちの気遣いも台無しだった。

「……っって! キャーーーッ!?
 なななな何で、スッポンポンの男が私の前に立ちはだかんのよ!?
 控えよ痴れ者! 下がらんかァーーっ!!」
自分の言葉も終わらぬうちに、エリナはマッハのパンチで彼氏の顔面を撃ち抜いた。
男は窓を突きやぶり、二階から外界に飛んでいく。

「このぉ……日も高いうちから呼び出しを無視して交尾ざんまいってわけ?
 本っ当、あんたみたいなタイプはムカつくわね!」
目を三角にしたエリナが、ガバッと毛布を奪い取る。
その下から、ウサギのように怯えながら泣き縮こまる赤毛の娘が現れた。

よく見れば娘も全裸だ。
エリナのご指摘通り、彼女はここしばらく大好きな男と交尾ざんまいでした。
「羨ましくなんて無いわよ!バカにすんな!」
「ひうっ……わ……私は何も……ぐすっ」
「来なさい!」
「きゃ……痛ぁ!?」

エリナは赤いお下げ髪を強く握って、
哀れな娘に服も着せずに、そのまま村の酒場に引きずっていく。


--


シーン1。

「いやあああっ!!」
泣き叫ぶ赤毛の娘は、オークたちの前で丸裸にされてしまった。
年齢の割にイヤらしい乳房を揉み揉みと触られ、
オス達に見下されながら股を、性器を押し拡げられ、
分厚い処女膜を指でおっ広げられてみんなで笑われたあと、豚のチ○ポで惨めに初めてをブチ破られた。

ズボズボ、ズコバコ、ぱんぱんぱんぱんっ。
「いやっ、中はいやあああああっ!!」
彼女の子宮は豚の子種であっさり種付けされた。
豚にマーキングされたのがすごく悔しいのに気持ちいい。
だけどまだまだオークたちの陵辱は始まったばかりだ。

「むぐううっ!? んぐぅっ! ごくっ……ごくん……!」
クッさいチ○ポが娘の口にもねじ込まれ、溢れかえるほどの豚精液を注ぎ込む。
もちろん娘はたっぷり飲んだ。
今後彼女がキスする時は、唇から栗の花の臭いがするだろう。

口の次は肛門だ。
いきり立った豚肉にズボズボ何百回も犯されて、
いまでは毎朝ウンチをするたびに、赤毛の娘はお尻にチ○ポが恋しくなって仕方ない。
「はぁぁ……オークのブッといのを突っ込んで欲しいよぉ……」

もちろん女の一番大事なところは、尻の三倍回数は犯された。
三ヶ月も輪姦(まわ)せば処女の跡形もなく、あそこはビロビロのガバガバに拡張されて、
赤毛の娘は女としての価値がこれっぽっちも無くなった。
でも本人はすっかり感じまくる体になって、隙さえあればオ○ニーに耽るのがとても幸せだ。

そろそろ気が済んだので、さっさと話を進めると。

彼女は六頭の仔オークを初産した日に、礼拝堂の外から
戦いの音がするのに気付き、思い切ってオークたちから逃走をした。
そこで颯爽と金髪の女剣士が登場し、赤毛の娘の命を救った。
女剣士は鮮やかに三頭のオークを討伐し、なおも一人で娘の追っ手たちを相手取る。
その英雄こそがレイナお姉ちゃん……じゃなくて、偉大なるレイナ=ヴァンス様である。



シーン2。

おお……だけど何という不運だろうか。
たまたま他の用事で疲労していたレイナ=ヴァンスは、
礼拝堂の悪い魔力に思考を奪われ、オークたちに操られてしまうことになる。

「ああ……オーク様ってよく見ると、ものすごく魅力的なお顔立ちですね……」
レイナの長い指が、オークの大胸筋を撫で伝う。
オークは汚らしい唾液にまみれた豚口で、美しいレイナの巨乳にむしゃぶりついた。
「あんっ、ああっ! お、おっぱいは……
 大好きなエリナにしか触らせた事が無いのに……あはぁ!」
オークの野太い指が、白い乳房を力強く揉みくちゃにする。
熱い餅のような乳肉は、目まぐるしく形を変えながらじっとり汗をかいて火照り始めた。

レイナの乳首がびんびんに勃起していく。
それに負けじとオークの男根も天を向いてそそり立ち、
清純可憐なレイナの性器に狙いを定めた。

これからオークと繋がるのだというのに、レイナには悲愴も苦痛も無かった。
彼女は肉付きの良い太股を自分から開いて、サーモン色の柔らかい入り口を震わせている。
はぁ、はぁ……ごくり。

柔らかい液音がして、いよいよオークのペニスがレイナの秘部に密着をした。
プツッと乙女のカーテンを開封しながら、オスの肉がメスの肉を貫いていく。
「ああっ、ふ、太いいっ!!
 こんなゴツゴツした物が、私のいちばん奥まで押し拡げながら入ってくるううっ!」

――こうして、次期女王には辛い試練が降りかかり、オーク討伐行はいったん流れを止める。
あろう事かレイナ=ヴァンスのバージンは、
オークの股間に生えた豚チ○ポで貫通されてしまったのだ!



シーン3。

さてここで本日のカレンダーに注目すれば、なんと事の始まりから三ヶ月強がすぎている。
オークの種とはいえ、礼拝堂で祝福された聖なる生命は、レイナのお腹ですくすく育った。

元から大きかったレイナ=ヴァンスのおっぱいは、
妊娠してからぷるるんと二つほどカップをふやしたが、ツンと上を向いた美しいラインは崩れない。
しかし乳首は若干色が濃くなって、甘いミルクを滲ませている。
三ヶ月というのは、オークの産み月なんだそうだ。

もちろんお腹は丸くて柔らかいボテ腹だ。
五〜六頭もの赤子を満員に孕んで、実に美味しそうな腹肉のカーブの上に
可愛いおへそがトッピングされていてたまらない。
しかも身重なのに、レイナお姉ちゃんの前後の穴は、オークの長いチン○ンでサンドイッチに犯されている。
乳房を重たく振り回し、汗まみれのお腹を上下に揺すって、
レイナお姉ちゃんの熱い妊婦プレイはムンムンと礼拝堂に熱気を広げる。

「ああっ、長くて太いいっ!
 私の赤ちゃん豚を、チ○ポの先で小突き回しちゃらめえええっ!!」
お姉ちゃんは芯から燃え上がりそうな女の悦びにのけ反った。
ぎゅっと締める女の力が今度はお尻の中でペニスをよじると、後ろのオスが勢いよく子種汁をぶっ放す。
メスの股間がびくびくっと震え、前のペニスもたまらずマグマを噴いた。
レイナお姉ちゃんは熱い硬便にお尻を犯されるような背徳感と、
焼けただれたオークの子宮&腸内射精で快楽のトドメを刺された!どびゅっ、どびゅるるっ!!

「あひゃああっ、らめぇっ、いっきゅううううううううっっ!!」
おっぱいは震えながら噴水のようにミルクを噴いて、
大きな妊娠腹は白ワインにも似た甘酸っぱい汗を浮かべていた。
それぞれが肌を伝いながらお姉ちゃんの花園へと流れて落ちる。
するとソコは、ソコは、太くて脈打つオスのチ○ポを咥えたままで、
お姉ちゃんの甘くて濁った女蜜と、オークのイカ臭いザーメン汁で、
マーブル模様を描きながら、ぐっちょんぐっちょんに熱くぬかるんでいたのだ!

ああ女体の神秘、生命体液のアートである。
ボテ腹にされたレイナお姉ちゃんが恍惚とした表情で頬を染めているのが破壊的に可愛い!(グッ!)



ええっと、そこからは……
まぁ仕方がないので、レイナ=ヴァンスは出産し、
オークの子供をポンポーンとお腹の中から追い出した。

されどもまだ試練は続く。
今度は貧乏な農村で徴税だ。
大した物が無いのは分かってるし、レイナ=ヴァンスは器が大きいから無理を言わない。
取りあえず仔オークを孕ませる用に、豚みたいな娘を一匹だけ村から没収し、あとはすぐに森へと帰投した。

そして大ヴァンス家の試練は最終段階を迎える。
賢君レイナ=ヴァンスにとって無くてはならない忠義の右腕、
近衛隊長エリナ=ヴァンスのお出ましである。

――まぁ、要点だけをかいつまんで説明すれば、
ざっとこういう話の事情で合っているわよね?


--


エリナ=ヴァンスは酒場に人を集めて力説していた。
頬を赤く上気させ、鼻からは鮮血をこぼしている。
しかしこぶしを握って語るエリナは、いたって真剣な眼差しだった。
仁王立ちしたエリナの太股の内側に、
女性の強烈に甘酸っぱい汁が垂れ落ちていく。
酒場に集められた村人たちは、この危ない貴族さまを刺激するのが恐ろしくて、
なんと言って良いか分からず黙ってエリナを見つめていた。

「何よ、みんな黙って……」
エリナは不満そうに鼻白むと、赤毛の娘に視線をおろした。
「特にアンタには確認しておきたいんだけど?
 私の認識におかしな所がないか、ちゃんとチェックして貰わなきゃ困るわ」
赤毛の娘はエリナの大演説が始まる前に、村人たちの見ている前で
全裸の事情聴取をされたものの、いまは服を着て足元に縮こまっていた。
今度は演説のシーン1で言葉の責めに翻弄されて、耳たぶまで真っ赤になっている。
私はキスをすると口から精液の臭いがして、トイレに行くとお尻にペニスを思い出すらしい。

「まったくもー、本当に使えないわよね」
エリナは悪いとも思わず、呆れたため息だけを娘に与えた。
村長を見てみれば、物静かな性質の婆やは、
卑猥な熱弁の途中でテーブルに突っ伏して気絶したようだ。
大人たちはエリナを色々な意味で恐れて硬直していた。

仕方ないので、エリナは子供たちに話の確認を求める。
年頃の少年たちだけが興味津々とエリナの話に聞き入っていて、
内容に対して「大体合ってる」との太鼓判を口にしてくれた。

「フム……」
あごに手を当て、エリナは少し目を閉じる。
部下たちが馬で村へと近付いている気配があった。
少し待って、合流してから動こうか。



「エ、エリナ様……! ぜぇ……ぜぇ……
 ヴァンス近衛隊の旗本四騎、ただ今これに参りました!」
「遅い! 日頃の訓練が足りておらんぞ!」
エリナは叱るが、別に本気で遅いとは思っていない。
むしろ全速力のエリナに部下が追い付いて来れたらびっくりだ。

エリナは今度こそ要点をかいつまんで、部下に手早く状況を説明すると、
さっそく自分も武具をまとって馬の鞍に跨がった。
「赴任早々ではあるが、即時出立だ!
 調子に乗った家畜共を一匹残らず屠殺して、レイナお姉ちゃんを正気に戻すのよ!」
ひいいと疲労に悲鳴を上げながら、四人の女兵士も降りたばかりの馬に跨がる。
五組の人馬はパカパカ蹄を鳴らしながら、森の方へと走っていった。

後に残った村人たちは、呆然と貴族の背中を見送っている。
赤毛の娘だけは赤面したまま、俯いてこっそり自慰をしていた。





4-2

「あああ……あ……!」

エリナは泣きそうな顔で、ナメクジのように悲鳴を上げた。
礼拝堂の苔むした床にがっくり手を突き、四つん這いで肩を震わせている。

「ど、どうしたのよエリナ。
 人の顔を見るなり、世界が終わったような雰囲気ね……」
レイナが眉をひそめて苦笑する。

エリナ=ヴァンスが森の礼拝堂に踏み込んだとき、
大好きなレイナお姉ちゃんは、長椅子のような構造物に腰かけて
のんびり我が子に乳を与えている最中だった。

「そのおっぱいは……
 そのおっぱいは、エリナのために付いているのに……」

「はいはい」とレイナがまた笑う。
左手に愛子を抱え、右手で柔らかく乳房を持って、乳輪ごと押し付けてやる。
子供も乳房にしっかり掴まり、乳肉を丸く盛り上がらせて、
尖った乳首を舌の腹で引っ張りながら、喉を鳴らしてミルクを飲んでいる。

「レイナお姉ちゃんのミルク、なんて甘そうな……まさに聖乳だわ」
仔オークの唇からは白い滴が贅沢にしたたっていて、
レイナの乳房がいかに豊かな母乳を詰め込んでいるのかを良く表わしていた。
エリナは悶々と凝視しているうちに、唇と大陰唇から二種類の涎をしたたらせ始めた。

「エリナにも飲ませてよおーー!」

羨ましいのはそれだけじゃない。
ほか四頭の子豚たちもレイナにしがみついていて、
空いている乳房や背中に、ひざの上にと、
柔らかい母肌に頬をこすりつけながら思い思いの姿勢で甘えている。

最後に帝都で見た時よりもさらに二回りほど張ったレイナの巨乳は、
桜色だった先端がサクランボのような赤みに熟れている。
安産型のお尻やむっちりした太ももにも、美味しそうな女の脂がほど良く乗って、
今こそレイナの体は食べ頃絶頂だというのに……

「どぉして私が収穫するまで待ってくれないのよぉぉぉっ!!」
エリナは目の前でトンビに油揚げをさらわれて、
がっくり敗北感の中で肩を落としてしまった。



「ねぇ見て。
 エリナが小さかった頃にそっくりだと思わない?
 ああ……可愛すぎて、どうにかなっちゃいそうだわ」

「レイナお姉ちゃははああああぁぁん!」
私にそっくりって、どう見ても豚にそっくりだわよう。
エリナ心の悲鳴であった。

レイナが幻を見ているのは分かってる。
エリナと同じ顔の子供を可愛いと言ってくれているのだ。
ああ神よ、ここは一応喜んでおく所なのですか。

レイナは幻惑されつつも、エリナのことだけはエリナとして見えているらしい。
愛の力か、姉妹の絆だろうか、それはエリナを強く慰めていた。
もしも問答無用で剣を向けられ、レイナの口から牝オークとでも罵られていたら、
エリナ=ヴァンスはショック死していたかも知れない。

(いったい何がレイナお姉ちゃんを惑わしてんのよ……!
 ぱっと見た感じじゃ、呪いや魔法は見当たらないような気がするんだけど)

部下の女兵士たちは後ろで待機させながら、
エリナは自然な雰囲気を作って周囲を見探っていた。
ちなみに近衛隊員たちは、レイナからメス豚に見えているらしい。
そこはかなりの優越感をエリナに与えた。

(チャンバラじゃあお姉ちゃんに勝てないだろうしなぁ。
 取り押さえるのは無理として、
 オークたちも大人しいもんだし、黒幕って訳でもなさそうなのよね……)

果たしてオークたちは、大人しくしているか?
亜人たちは相変わらず虚ろな目のまま、今もずこばこと三人の村娘を犯しまくっている。
つまりエリナから見れば、オークは”何もしていない”のと同じだった。
田舎娘の膣や子宮がめちゃくちゃになろうが、ハエの交尾を見るほどにも興味が湧かない。

とはいえいざエリナが武器を構えれば、
四十体ほどもひしめいているオークたちは、一斉に敵対する可能性が高いのだけど。
なんでオーク共はスッポンポンなんだろう、汚らわしい。



(ま、レイナお姉ちゃんさえエリナが取り戻せたら、
 オークを潰すなんてニワトリの首を折るのと同じだし……)
レイナの洗脳を解く。エリナとしては、とにかくその一点だけだ。
オークが操っているのでは無いならば、
礼拝堂の置物か何かに邪悪が混じっているのだろうか?

エリナはお姉ちゃんとの会話をいったん打ち切り、お堂の中を歩き始めた。
巫女たちが泣きながらレイプされている横を通り過ぎても、エリナは実に涼しい顔だ。
かたや部下たちは、真っ青な顔で同性の悲劇に固まっている。

暗い廃墟の屋根の下、
カツンカツンと響くエリナの足音と、はぁはぁむせる交尾の吐息と、
甘々に愛を語らうレイナ母子の笑い声。
女兵士たちは、ここを魔界だと思った。



「う〜〜ん??」
結局エリナは、遺跡に怪しい何かを見つけられない。

ならばクイーンズブレイドで戦った雑魚っぽい女(名前は忘れた)が持っていた、
魔の杖・フニクラのような物を探そう。

……あまりに安っぽ過ぎる気もするが、
レイナの近くに立てかけてある鉄の長剣なんて、距離的にはとても怪しく思う。
というか、他には疑うような物がない。

「レイナお姉ちゃん、この剣、ちょっとエリナが借りていい?」
エリナが手に取ろうとすると、レイナは稲妻のような早業で
安物の剣を先に奪った。ビンゴだ。
魔剣の擬態も、事前に疑われてしまえば意味が弱かった。

(よぉし、あの剣さえ叩き折ったら、きっとミッションはお終いね)
それぐらいならエリナにも出来る……だろうか?
彼女は人知れず気合いを高めて、姉に向かって静かに槍を構えた。


--


「あー、ううー……」
レイナはゲンナリとした顔で、乳飲み子を抱えたまま魔剣を構えた。
息子に嫉妬したらしい妹が、嫌がらせのように剣の稽古を求めてきたのだ。

「そのおっぱい、私に返して貰うわよ……!」
この台詞は夢の脚色でなく、現実のエリナの肉声だった。
まさかエリナが剣に向かって喋っているとは思わずに、
「はぁ〜〜……」と深いため息をつきながら、
レイナは息子と妹を交互に見比べていた。

大好きなお姉ちゃんに子供が産まれたんだから、
少しは祝福してくれるかとも期待したのだが……
エリナはあまりにも、いつものエリナさんでした。

「坊やたち、あんな叔母さんで大変かもしれないけど、エリナと仲良くしてあげてね?」
「あー。 かーかぁ。 あー」
「えっっ!! い、いま、『お母さん』って言ったのかしら!?
 ちょっと、エリナ! エリナってば! 今の聞いた!?」
「うわあああああああああああんっっ!!」

エリナはもう半泣きになって襲い掛かってきた。



「はぁっ……はぁっ……こンのおおおおおおおっ!!」
甥っ子への対抗心をむき出しにして、
エリナは羅刹のように激しい剣戟を繰り広げている。

しかしレイナは左腕で子を抱き、
左腕だけで乳を寄せ上げながら、授乳と母子の語らいを続けていた。
エリナの猛攻は、ひらひらと舞う姉の剣で全ていなされる。
レイナにはエリナの方を見ていない瞬間さえあった。

キインッ、カンッ、カァンッ
「くっ……な、何なのこれ……!!
 いくら何でも、レイナお姉ちゃん強すぎじゃない!?」
エリナは姉の体ではなく、剣を狙って打つのだが……
レイナの太刀筋はまったく見えず、まったく読めない。
いつの間にこれほど差を付けられてしまったのだろうか。

作戦は失敗?
エリナの顔に焦りが広がる。



レイナ=ヴァンスはただでさえ剣聖の域に近付きつつある腕前に加えて、
魔剣の力によって、身体能力が一時的に20%ほど上乗せされていた。

達人同士の勝負とは、実力の数%を、時にはコンマ数%の差を競うもの。
元もと差があるところに魔力の下駄を履かされて、
ヴァンス姉妹の一騎打ちは、大人と子供の勝負を見るようだった。

やがてカァァァンと、ひときわ高く金属音が鳴り響き、
お堂の中で勝負の決着が知らされた。



「れっ、レイナお姉ちゃん、目を覚まして……!」
ソードブレイクに失敗し、逆に自分の武器をはじき飛ばされて、
エリナは重い疲労に両ひざを突く。

魔剣もそろそろ身の危険を感じたと見え、
周囲で巫女を犯していたオークたちが、ぞろぞろエリナに近付いてきた。
「く! このぉ……!」

野太い腕の十本ほどに押さえつけられ、エリナは石の床に這いつくばった。
レイナは「やれやれ」と魔剣を鞘にしまおうとする。
刀身からはいよいよ緑光を放つ粒子が溢れ、
エリナの目にも、それが魔力の結晶であることがはっきり分かった。
レイナの見る幻が濃くなっていく――



「やれやれ」
レイナは剣をしまって授乳に戻る。
無茶な稽古で汗だらけになったエリナは、ヴァンス伯爵に叱られて、
これから使用人たちに肌を拭かれるところであった。

ぎゃーぎゃー騒ぐエリナだけども、
父上が見ている手前、召使いたちを振り払えず鎧を外されていく。
乳房や股間まで裸に脱がされ、十本ぐらいの腕で身体中をまさぐられている。

「レイナお姉ちゃんっ、その剣を捨ててっ! 一生のお願いだからぁーっ!!」

剣で負けた次は、素手で勝負しろということだろうか。
「あははは……
 エリナ、少し腕が鈍ってないかしら。調子悪いの?
 まぁそれはそうとして、次からはおっぱいの時間に稽古は止めてね」

たくさんの子宝に恵まれて、母親は毎日忙しいのだ。
レイナは満腹した子の髪の毛を愛しそうに撫でたあと、
ゆっくり彼をソファーに置いて寝かせると、
次の息子に向かって両手を開き、豊かな乳房をユサッと揺らした。

息子は嬉しそうにハイハイしながら寄ってくる。
その一途さが、レイナにもとても嬉しかった。



(だっ、駄目だわ……根本的に作戦を変えなきゃ。
 正攻法じゃあ、もうあの剣に近付くことすら出来そうもない!)
レイナの手に魔剣があるのは、まさしく鬼に金棒だ。
武力では、あの剣を折れない。

取り押さえられたエリナが、頭の中で目まぐるしく処方を考えている間、
背後に控えていた近衛兵たちは何十頭というオークに襲われていた。
最初はレイナの客のように扱われていたエリナ一行も、
今や完全にオークの苗床扱いをされつつあった。

女兵士だから殺されこそしないものの、
四人が四人とも床に押さえつけられ、すでに肉体を貫かれている。
貴族の処女膜をペニスに突き破られて、前から後ろから肉棒で女肉を押し拡げられ、
近衛隊員たちは涙を流しながら無垢な子宮に熱い子種を注がれていた。

我に返ったエリナは、状況を把握しようと頭をもたげる。
だけどすぐにオークの分厚い手に抑えられ、床と無理やりキスさせられる。
「んぐうっ……!?」

エリナが目を白黒させている隙に、
裸に剥かれた彼女の陰部に、そり返ったオスの性器が突き立てられた。
オークはそのまま腰を突きだし、エリナのきつい締め付けに気持ちよさそうな吐息を漏らす。

「痛”あ”あ”あ”ぁっっ!!?」
二枚目となるヴァンス姉妹の処女膜が、亜人に奪われてしまった瞬間だった。


--


「あぐううっっ!? ちょっと、何をやって……」
ずぶぶぶぶっ……
「あ”・あ”・あ”〜〜〜っっ!!」

姉の乳房に興奮していたエリナの膣は、女の蜜でぬかるんでいた。
またオークを雑魚扱いしすぎていたため、
すっかり”オスに囲まれている”という状況を忘れていたので、
エリナは性的なガードがお留守になっていたのであった。
太くて頑丈な一物は、エリナの純潔を一気に奥まで抜いてしまった。

「こんのっ、調子に乗るんじゃ……!」

しかし破瓜の痛みで心が折れるようなエリナじゃない。
彼女は振り向いてオークを殴り飛ばしてやろうと力むのだけど、
さすがに押さえの腕が多すぎて、敵を振りほくことができなかった。

「ひゃああああっ!? 触るなっ、舐めるなっ、汚らわしいっっ!!」
性欲を全開にしたオークたちが女体の各所を貪り始めた。
「いつの間に乳やらアソコまで剥かれてンのよ、私っ!?」

荒い気性ながらも令嬢として育った白磁の肌が、
余すところ無くオークの唾液で汚されていく。
その陵辱を象徴するかのように、エリナの太ももには赤い液体が一すじ伝っていた。



ずっぷ、ずっちゅ、ぎちっ、ぎゅぽっ
「あ”っ! うぐっ!! い、痛いっ!!」
野太いペニスが処女の入り口を押し開き、長いストロークで摩擦しながら、
ピンクの肉筋を円形の肉穴へと広げてしまった。

異物を取り押さえようと、膣の内部が全方位から締め付ける。
しかし岩のようなオークのペニスは、中折れすることもなく前後に暴れて、
きつきつの処女膣を自由自在に出入りしていた。

力任せの高速ピストンが、女孔のヒダや肉粒を使って陰茎を強くこすりまくった。
男性器はみるみる脈打ち、肥大化していく。

ぱんぱんぱんっ、ずちゅっ、ぱんぱんっ
「あぐっ! 抜、抜いて! 抜けええっ!! うああああっ!?」
メスが鳴くとオークは喜ぶ。
鼻息を荒く噴き出しながら、オークはラストスパートに汚い汗を飛び散らす。
エリナが嫌がるのもお構いなしに、とうとう一番深いところで
大量の子種汁をぶちまけてしまった。

びゅるるるっ、どくん、どくんっ……
「あああっ!! ああ……あ、熱い……!」
次から次へと流れ込む生まれて初めての熱流で、
エリナは二重三重の屈辱を胎に注がれていた。



(くっそぉ……! 取りあえずは、従ったフリをして隙を探すしかないか……?)
床に並べた二つの拳を震わせて、エリナは犬の格好で種付けされながら
今後の作戦を考えていた。

冷めたリアリストであるエリナにとって、自分の処女膜なんぞはどうでも良い。
むしろレイナの処女膜を自分で奪えなかったことだけが無念で仕方ない。

大量の膣内射精が終わって太いペニスが抜かれると、
すぐに二番手が後ろ側からエリナを貫いてきた。
彼女は「くっ……!」と短く呻いただけで、あとは何の感傷も無いようだ。

上司と同様、為す術もなく輪姦されている部下たちに
「面従腹背せよ」と目で命令しながら、
エリナは処女を失った初日だけでも、オークたちに二十発は中出しされた。





4-3

「んはっ……んちゅ、んぐっ、ごくっ、ごくっ……ぷはっ
 すごいわ!?
 レイナお姉ちゃんのおっぱい、搾っても搾ってもどんどん出てくるうー!」

ヴァンス姉妹は半裸で抱き合いながら、二人そろってオークたちに犯されていた。
立ちバックでお尻の肉をパンパン打たれるたびに、二つの女体は強く密着し合う。
エリナは念願のおっぱいに吸い付いて、汗に光る乳肌を揉みつぶしながら
夢中でレイナのミルクを搾り、自分ののどへと注ぎ込んでいる。

「ちょっとエリナ! いい加減に止め……
 ひぁっ! そ、それは子供たちの分……んああっ!」

妹に乳房を揉まれ、吸盤のように舌で乳首を吸引される。
どこが 『味見するだけ』 なんだとレイナは焦るが、
膣は膣で激しいピストンの刺激が絶え間なく腰を震わせる。
性的な弱点を何ヶ所も同時に攻撃されて、レイナは手足に力が入らない。
レイナは乳吸い魔と化したエリナを乳房から引っぺがせずに、
前から後ろから良いように犯され今にも床に膝をつきそうだった。



母乳を叔母に横取りされているとも知らず、
幼い五匹の子豚たちはスヤスヤ寝ている。

なんと、ほかの雄オークたちが子供を膝に乗せ、
柔らかく寝かしつけているようだ。
オークたちを包む夢まぼろしが、ずいぶん薄くなっていた。
彼らは同族の子供の姿を正しく認識している。

エリナが礼拝堂に現れてから、
まだたったの三日ほどしか経っていない。
しかし彼女を中心にして、苗床の雰囲気は明らかに変化し始めている。



ずんずんずんずんっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ
「あっ、あっ、あうっ!
 そんな……胸もあそこも一度にされたら……
 ひぐっ、だめえ! いああああああっ!!」

レイナの意識を無視して、膣が勝手に強く締まった。
急に男根が固くなったように感じてしまう。股間が熱くなる。
レイナは牝の汗を飛び散らせながら果ててしまった。

のけ反ったレイナの胸で巨乳がぶるんと振り回されて、
エリナの唇から乳首が飛び出してしまった。
その乳首は大きく勃起していて、エリナが吸うまでもなく、
わななきながら白いミルクシャワーをまき散らす。

エリナは甘い雨をうっとりと顔で浴び、やがて姉に抱きついた。
彼女の乳房も興奮して、赤みの増した肌の真ん中で乳首がピンと立っていた。
エリナは柔らかい肉塊をレイナの胸に押し当てて、
汗と母乳をローション代わりにしながら、自分の乳でニュルニュルと姉の乳を犯していく。

「はぁ、はぁ……乳首を乳首で弄くるのって気持ち良いでしょ?
 レイナお姉ちゃんとずっとこうしていられるのなら、
 エリナは豚の苗床でも何でも構わないんだから……」

真っ赤になったレイナの耳たぶに、エリナが熱く囁いた。
腕の中でぜぇぜぇ息するレイナが倒れてしまわないようしっかり支える。
姉妹で接吻しながら、荒い姉の鼻息を奪うように吸い込むと、
妹の吐息もどんどん発情の匂いを濃くしていった。

--


魔剣は手近な柱に立てかけられて、美闘士姉妹をじっと眺めている。

初対面の時と打って変わって、今のエリナは実に従順だ。
自ら股を開いてオークのペニスで貫かれ、
レイナをうまく発情させて、彼女の分の種付けまで手伝っている。
時には子供たちの面倒をみていることさえあるようだ。

『女など……女などおおっ!
 ペニスさえ突っ込んでおけば思考停止する家畜に過ぎんのじゃあ!』
遠い過去の日、魔剣を生み出した古代の魔道士は、
そんな事を剣に教えながら血走った目で鉄を打っていた。

確かに、ペニスを突っ込んだとたんに
エリナが言う事を聞くようになった。
一応、教えとしては正しかったという事だろうか。

しかし他の巫女たちは、相変わらず犯されながら泣いているような?
海千山千、エリナの腹芸など魔剣には分からない。
「…………」
何だかよく分からないけど助かった。
魔剣はほっぺたに冷や汗をかくような心地でヴァンス姉妹を見つめている。



エリナという女戦士は、敵としてとても厄介だった。

まず、前に馬として使っていた男剣士などよりは遙かに強い。
しかもレイナとは仲の良い姉妹であるようで、
姉の手を使って討とうとすればレイナの抵抗が予想される。
その上、魔剣の幻術がエリナには全く効いてくれない。
魔剣同様、エリナもまた精神呪術の使い手であるらしいのだ。

そんなエリナが頑強に抵抗を続けていたら、
今ごろ、魔剣の豚牧場はどれほど荒らされていたやら分からなかった。

もっとも、今後の事はまだ分からない。
牧場の雰囲気が日に日に変わるのを見て分かるとおり、
エリナが現れてから状況は変化に変化を重ねつつある。

夢の中に、正体不明の声がするのだ。
魔剣が作り出したはずの世界に、魔剣の知らない声がする。
呪い――そう、まさに呪いの言葉だ。
『おまえは間違っている、おまえの言う正義は悪だ』 と
魔剣の存在意義を根底から否定するようなささやきが聞こえる。

魔剣はとても不安になった。
すると知らず知らずのうちにレイナやオークたちへの支配も弱まって、
彼女たちは自分本来を取り戻しつつあったのだ。



「…………」
一人夢の世界から抜け出して、魔剣はじっとエリナを見ている。
どう考えても声の主はエリナ以外に思いつかない。

「あっ、あぅあっ! そこぉっ!
 私の一番奥を、もっとゴリゴリやっちゃって!
 ひっ、ひあああっ!? ああーーーーっ!!」

エリナは、それはそれで豊かな乳房を振り回しながら
オークとの交尾によがり狂っている。
一見、呪いを打っているようには見えないのだが……

「…………」
帝都ガイノスに、ひしひしと育つ悪を打つ。
女の胎とオークの血液で魔力を育てて巨悪を討つのだ。
魔剣にはそれしかやる事がない。
でもその唯一の道が間違っているのだというのなら、
正しい道をレイナかエリナに教えてもらいたい。
剣とは道具なのだから、道具として正しく使って欲しかった。


--


さらに三日ほど経った後、レイナの夢で。

夢の中には黒騎士の姿をした魔剣と、
ひどく淫らな衣装を着込んだエリナが堂々と出現をしていた。

魔剣とエリナは、レイナをほったらかして話し込んでいる。
もはや誰の夢なんだか分からないほど夢の呪縛は崩れつつある。

「ではやはり、私は間違っているのですか?
 具体的に間違っている箇所はどこなのでしょうか。
 女性を道具にしている事ですか、
 それともオークたちを死なせている事なのでしょうか」

エリナは唇と舌でレイナの乳首を味わいながら、
言葉で魔剣の心を揺さぶり続ける。

「んはっ、ちゅぱっ……んちゅっ……
 だからぁ、レイナお姉ちゃんから手を引いたら、いつでも教えてやるって言ってんでしょ。
 道具風情が人間さまに何かしてもらおうと思うんだったら
 本来は十倍返しが当然なのよ……にゅぷっ」

レイナにだけは、二人の言葉が聞こえているのかいないのか。
オークのペニスで子宮口を攻撃されて、
同時にやたら敏感になってしまった乳首を妹の口唇でニュプニュプされる。
エリナと魔剣の話の輪の外で、レイナはテーマもない快楽責めに悶えていた。


--


「んぐっ、んむううっ!?」
口の中にもペニスが突っ込んできて、猛烈なオスの匂いがメスを興奮させる。
レイナは細いあごに涎と汗を伝わせながら、
前から後ろから、肉棒で串刺しの形にされてしまった。

「んちゅっ……ん、んぅ……!」
無我夢中で亀頭を舐める。竿を吸う。
全身に炎が燃え上がり、乳首を、子宮を、生殖の悦びでジンジン焼いた。

いつもと変わらない快楽の一日。
だけどレイナを前後に貫き犯しているのは、
人間ではなく、はっきりとオークたちだった。

なぜかオークたちに寄ってたかって穢されている。
なぜか半裸のエリナがすぐ近くにいるのに、なぜか助けようとしてくれない。
妹は、どこかで見覚えのある黒衣の騎士と、
よく分からない話題で語らっている。



「はぁ、はぁ……! これは、一体……
 んむっ、んぐうっ!!」

夢なのだろうか。

オークも、エリナも、黒衣の騎士も。
亜人に穢されるなんて、貴族なら即自決も考えるべきほどの非常事態だ。
だけど膣と口で脈打つ高温のペニスは、
レイナにとってあまりに慣れ親しんだ感触だった。

(どこからが……夢?)

エリナの気配を近くに感じ始めた日から、
レイナの日常は急に輪郭を失い始めた。
夢を見始めたのだろうか。
それとも、夢が終わりつつあるのだろうか。

(今まで居た場所の方が、夢だったのかしら……)
オークとの戦いや、初めての恋や、村で、ヴァンス領で過ごした日々が、
急に汚いツギハギ模様に見えてきた。
何の接点もない光景を、一体にして受け入れていた。
なぜ今まで疑問を抱かなかったのだろうか。

ずちゅっ、ずぽっ、ぐちゅ、ぐちゅっ
「んっ、んうぅ! んんーーっ!!」

精液だらけの膣にペニスを詰め込まれ、
あごが外れそうなほどに口と舌をペニスで犯されながら、
レイナはオロオロと周囲を手探りし始めた。
彼女は子供たちを探している。
まさかそれも、夢でしかなかったというのか。



―いけません―

ずんずん、ずっちゅ、ぱんぱんぱんぱんっ
「んぶっ!? んぐっ、んむぅーーーーっ!!?」

誰かが何かを囁くと、急に陵辱が激しくなった。
いったい周囲にどれだけ居たのか、わらわらと別のオークたちが集まってくる。
長いペニスや野太い指を思い思いにレイナに押しつけ、
乳と尻の柔肉に強くねじ込ませ、脇や股間といった敏感な女の肌をまさぐり始めた。

また世界の輪郭がざあっと書き換えられていく。
オークたちの身体は溶け合い、混ざり合って、
ピンク色をした巨大なスライムへと変貌していく。

レイナは頭の中を直接押さえつけられるような重さを感じた。
直前の思考が圧迫されて思い出せない。

レイナが必死に記憶と戦っている隙に、
ピンクのスライムはレイナを捕食するかのように覆い被さってきて、
レイナの身体にイヤらしい体当たりの攻撃を始めた。
細く伸びたスライムが女体を突っつくと、
勃起した男根でなじられているような重さと熱さがレイナの肌に伝わってきた。



(こ、この攻撃は……確か、千変の刺客メローナ!?
 そうだ、思い出した! 私はクイーンズブレイドに参加しようと……)

過去の記憶の断片が、良く出来た新世界を作り始めた。
でもやはり、もうレイナには
それが確かに現実であると信じる事が出来なくなっていた。

「んぁっ!? 何をするのよ!?
 そこ……お尻の穴だってば! ひゃあああっ!?」

メローナは戦いを愚弄する。
レイナの剣をかいくぐり、彼女の膣と肛門にスライムの先端を突っ込みながら、
力を同時に込めてかき回し始めた。
下腹部の中で、スライムペニスがゴリゴリぶつかる。
ああこれはやはり、毎日よく感じ知っている交尾の肉感だ。

(これも……これも、千変の刺客メローナの……!)
スライムによる陵辱は、いよいよメスを貪るオスの動きになっていく。
膣を貫くペニスは太く、長くなって奥を狙い、
乳房は指で搾られるように、不自然な変形をさせられていた。

景色がいくら都合良く変わっても、肉の蠢きはいつもと全然変わっていない。
いつも通りの快感が、レイナをいつも通りの絶頂へと押し上げていく。
「ああっ、あ! うあああああああっ!!」

失禁かと見まがうほどに潮で股間をしぶかせながら、
レイナは四肢を張り伸ばしてまたイッた。
意識が真っ白になっていく。これは、気絶してしまう。
薄れゆく意識の中で、レイナは捉え所のない不安に包まれ、
自分を包む世界の正体を疑っていた。

これも、メローナの夢なのかしら……


--


レイナが見た淫らな夢の数々は、最初純愛から始まった。
彼女が性交に慣れるとだんだん過激な色合いを帯び、
やがてペニスは触手の束に、今では巨大なスライム姦になっていた。

ペニスしかなかった礼拝堂に、新しい肉の形が来たからだ。
その肉は――エリナ=ヴァンスのおっぱいは、
今も現実世界でレイナにむっちりと密着し、
夢の中でスライムなんかが登場してしまう原因となっていた。
レイナは気を失ったまま、熱く鼓動する妹の乳房に顔を挟まれている。

「うはぁ〜 役得、役得ぅ」
エリナは姉の髪の毛に上から鼻を埋めて、
クンカクンカと姉の匂いを胸一杯に吸い込んでいる。
レイナお姉ちゃんの顔面を自分の乳房で感じると、
乳首が硬く尖って恥ずかしく、それを姉の肌に知られる羞恥が気持ちよかった。

もちろんエリナも、オークに犯されながらだ。
整った尻のカーブを鷲づかみにされ、
柔らかいエリナを引き延ばすように、ペニスはずっと股間に突き刺さっている。
彼女は女の穴と女の蜜で男根を迎えてぎゅうぎゅうに締め付けながらも、
実に余裕と冷静のある表情で、満足そうにオスと姉を同時に味わっていた。



剣での戦いを諦めて呪言で攻める第二番目の作戦は、
エリナ自身が笑ってしまうほどに順調だった。

人を操る魔力があっても、しょせんは作り物の魂であるように思えた。
愚かしいほどに単純で、どういうわけか正義にこだわる。
しかもその根本は歪んだ教育のせいで自己矛盾に満ちている。
世を救うために世を乱そうとするお馬鹿さんだった。

こんな立て付けの悪い理論を呪言でけり崩すのは、
正面からの武力突破に比べて実にたやすい作戦だ。

(正直、ここまで揺さぶっちゃったら、
 剣なんていつでも叩き折ってやれるんだけどナー)
魔剣も、魔剣の作る夢もブレていた。
今ならただ一息の間合いで、エリナの槍は諸悪の根源を真っ二つにするだろう。

だがしかし。
火照った肌を姉の肌とくっつけながら、エリナは状況を考える。
堅物のレイナを夢で操り、オークのペニスを張り型の代わりに使って
朝から晩までエッチしまくりの日々なのだ。

「あっ、あんっ……レイナお姉ちゃんの匂いがあると、
 オークのおち○ちんでも気持ちいいもんなのね……あふっ、ああっ!!」

こんな美味しいシチュエーションを、あっさり自分から捨ててる事もなかろう。
永遠に続けているわけにも行かないが、もう少しは楽しむべきだ。



「ああ、こんなにエッチに成長しちゃって……
 レイナお姉ちゃんのおっぱいぱいがけしからんわっ! キャーキャー!」
目をらんらんと輝かせ、世迷い言をほざきながら、
エリナはレイナの豊かな実りを揉んで揉んで揉み倒す。

汗ばむ手のひらの中で、ビクッ、ビクッ、と乳房が震える。
意識のないレイナの快感が両手にたまらなく伝わってくる。
エリナの鼻から、またツツーと赤い鼻血が流れ始めた。

あと少し、もう少しだけこうしていたい。
そして夢の時間は終わる。
終わらせる。
大好きな肉体を堪能したら、すぐにヤる。



「う……ううん……
 坊やたち、どこなの……」
気を失ったままのレイナは、淫夢ではなく本当の夢を見ているようだ。
不吉な予感にうなされて、端正な眉を八の字に寄せていた。

レイナの指が、寝ぼけながら愛児を探し求める。
母は子のぬくもりを確かめたかった。
その体温を「夢だ」と否定されることは、
今のレイナにとって、闘死するよりずっと恐ろしかった。

「ん……ダメよ、お姉ちゃん。
 それは人間じゃなくて、豚の子供よ。ブゥブゥ」

エリナとてレイナの気持ちは理解している。
しかし、それは許さない。
人間は人間、オークはオークだ。
それはエリナに限らず、多くの人にとって当たり前のことだった。

「レイナお姉ちゃんは、ちゃんとエリナの事だけを見て……」

夢はあくまで夢なのだ。愛と一緒にしてはいけない。
レイナが産んだオークの子供も、エリナの子宮で脈打つオークの胎児も、
自分が日頃かじっている腸詰めウインナーの豚肉でしかないのだ。
それがエリナの認識する現実だった。

子供を捜すレイナの指をとっ捕まえて、エリナがちゅぷっと口に咥えた。
口淫のように深くしつこく、エリナの舌がレイナの指に絡まった。
「ぅ……うう……!」
レイナは閉じた目蓋をぴくぴく痙攣させながら、目の端っこからつぅと一筋の涙をこぼした。
だけどそれも、エリナが美味しく舐め取ってしまった。





4-4

パキィィィィィィィン……

高くて硬い金属音が、礼拝堂に尾を引きながら響き渡った。
狙い澄ましたエリナの槍が、油断していた魔剣を破壊したのだ。
槍をバットのように構えて、フルスイングの一撃だった。
魔剣は刀身の根本を叩き割られて、刃と柄の二つに分かれて吹っ飛んだ。

礼拝堂の時間が止まった。
レイナも、オークも、他の女たちも固まって、頭上を横切る折れた魔剣に見入っていた。
魔剣の刃は切断面からおびただしい光を放ち、
緑色の魔力粒子で彗星のように輝きながら宙を通り過ぎていく。



「………………」

怒りも悲しみも無く、魔剣はただ
困ったような感情だけを魔力に混ぜてばらまいていた。
エリナはそれを、実に道具らしい感情だと思った。

(そんなアンタが、なんで迷ったりしたのかしらね)

”やれ”と言われたことを”やる”のが道具の正義だろうに。
剣が自分で善悪の判断などを始めたら、それは欠陥品だ。
道具としてはまさしく悪だ。

(私なんて、まんま剣として生きているんだけどな)

闘えと命令されたら闘うし、殺せと命じられたら殺すだけ。
人間であるエリナに出来るのに、
道具である魔剣にはその生き方が出来なかった。
なんだか両者ともが哀れであり、滑稽であるように思えた。


--


「全員抜刀! これよりオーク討伐を開始するわよ!」

凛とした声でエリナが叫ぶ。
バット持ちだった槍を、槍術の握り方に持ち替えて、
ブンブン威嚇するように二回転させてから構えを作った。

慣性の法則で裸のままの乳房が弾んだ。ここに来た時より少し大きくなってる。
その下に露出しているお腹の腹筋まわりも、孕んでぽっこり膨らんでいる。
少しレイナといちゃいちゃの時間が過ぎてしまったようで、
育ちの早いオークの胎児がエリナの子宮を重くしていた。

しかし相変わらず動じることのないエリナであった。
流れるなら勝手に流れろと言わんばかりに、
彼女は孕んだお腹を見せつけるような仁王立ちでオークを睨んだ。



「あっ、んっ……むぁっ! え、エリナさま、はぐううっ!!」
ずぷううぅ……と後ろからペニスで貫かれ、
何か言いかけていた近衛兵は、またオークに組み伏せられて犯され始めた。

精鋭とはいえ彼女たちは一般人だ。
ごついオークたちに前から後ろから押さえつけられてしまうと
振り払うのはちょっと無理そうだった。
どびゅっ、びゅるるうぅ
「ああっ、いやぁ……!!」
女兵士たちのお腹もオークを孕んで膨らんでいた。
そしてまた次の射精を注がれている。

「いつでもやり返せるようにヤられなさいよ、全く!
 いいわ、私一人で全部なぎ倒してやる!」

部下の敗北に苦笑しつつ、エリナは手に唾をして槍をしごくと、
まだ呆然としているオークたちを狙って猛然と戦闘を開始した。

槍の刃を横向きに寝かせて、手近なオークの胸を貫く。
肋骨をすり抜けて臓器を狙う突きだった。初撃から殺す気満々である。

狙われたオークは間一髪で殺気に気づき、
あわてて太い腕で心臓をかばった。
亜人ながら良い反応だ。
夢の支配から抜け出せば、オークたちもまた立派な戦士民族の動きを見せた。

槍の刃はかなり狙いを外して、オークの右肺を貫いた。
太い動脈を断つ深手となった。
人間ならまず助からないが、オークという生物はその程度の傷では死なない。

「さぁレイナお姉ちゃん!
 夢の時間は……おしまいよぉーーーーっ!!」

エリナは血まみれの槍を引き抜いた。
激痛にうめくオークの胸から、派手な血しぶきが飛び散った。
エリナはそれをニヤリと見つめながら槍を振り回し、
穂先に付いた血液を周囲にまき散らして気勢を上げた。

「うおおおおおおおっ!! 行っっくわよぉおおおおお!!」
礼拝堂に血風が吹き、殺伐とした合戦場が生まれていく。
巫女たちは怯えて丸くなり、
オークたちはペニスを勃起させながら、戦士の本能に血を沸騰させて咆哮していた。

エリナと近衛兵以外は、夢と現実の区別も付いていないような混沌だ。
狂気じみた怒号と悲鳴が飛び交う中で、
酒池肉林の牧場は空気を一変させて、人間とオークの殺し合いが始まった。


--


剣がぽっきり折れたとき、レイナは授乳の最中だった。
夢の終わりにビクビクしながらも、
愛を貪るように子供たちを抱きしめていた。

「んっ……んっ……ごくっ……」
涸れることのない豊かなレイナの母乳を、
息子は力一杯口に吸い出し、のどの奥へと流し込む。

もう乳離れをしないといけない時期なんだけど、
息子たちは見事な甘えん坊に育ってしまった。
レイナにはこの愛しい体温が幻だとはどうしても思えなかった。


パキィィィィィィィン……
しかし現実は強制的に進行し、夢を演じる装置が壊れた。
「ぅあ……!」

レイナの頭から見えない重さが消え去った。
ヴァンスの屋敷は暗い廃墟になって、
レイナにかしずいていた家臣たちは、次々とオークに姿を変える。
夢の世界の輪郭が、最後の書き換えを始めた。

(嫌な予感に限って、当たるものかしら……)
オークたちに囲まれ、犯されていた呪わしき日々。
やっぱりこちらの方が現実だった。
黄金の日々は全部夢だった。

レイナは恐る恐ると、胸に抱いた我が子の顔を確かめる。
「ぼ、坊やも……当然夢だったのね……」
豚の顔をした子供が乳房に吸い付いていた。
エリナの面影など何処にも無い。

レイナは抱いていた子を、ゆっくり地面に下ろして座らせる。
息子がキョトンとした目でレイナを見上げた。
「あ……あはは……」
ぐわんぐわんと音を立て、レイナの視界が歪み始めた。
レイナは乳房を丸出しにしたままヨロヨロと後ずさり、
背中を柱に重たくぶつけると、
そのまま膝から崩れて床にへたり込んでしまった。



目眩と吐き気に包まれながら、
レイナは苦しい自由思考の中にいた。

剣の断片から光り輝く緑の粒子は、
男の剣士と闘った時にも見覚えがある。
エリナが折ったあの剣こそが魔法の武具だったらしい。

使い手を惑わせる呪いの魔剣。

物語でよく聞く業物(わざもの)は、何の威厳も迫力もなく
こす狡くも安い鉄剣に擬態していた。
これが伝説と現実の違いというものだろうか。
今なら男剣士がレイナに見せた不可解な言動にも納得がいく。
あの男も、レイナ自身も、剣に乗っ取られていたというわけだ。

他の息子たちを見るのが怖い。
確かめるまでもなく豚の……オークの子供なのだろうと
レイナの理性が告げている。

オークに犯され、処女を奪われ、子供まで産まされてしまった。
毎日毎日気持ちの良かったセックスの熱は、
全部オークたちの体温だった。

「あははは……  うっ……ぐすっ……」
レイナは両手で顔を覆って震え始めた。
自分に子供が生まれた日々は、
自分に妹が出来た時と同じぐらいに嬉しかったのに。

「ぐすっ……うぇっ……こんなの、ひどい……」
「ぁーぁー?」
「レイナ……ドウシタ?」

床に座らされた子供は、泣き出した母を不思議そうに見つめていた。
まだ夢うつつから抜けきってないものの、
周囲のオークたちもレイナの様子を心配し始めた。



『うぉりゃあああああ!! 死っね豚ァーーーーっ!!』
『ニンゲンぶっ殺セェェェェッッ!!』

礼拝堂の反対側では剣戟と怒号が飛び交っている。
オークたちはもちろんそちらも意識してるが、レイナの様子はただ事じゃない。
レイナの近くにいたオークたちは、戦列に参加せずに彼女の姿を見守っていた。

「レイナ……シッカリシロ」
「レイナ……大丈夫カ?」
オークはレイナの代わりに子供を抱きあげると、
空いている反対の手で、レイナの肩をゆっくりと揺すった。

分厚くて暖かい手のひらだった。
レイナは毎日、この男肌と愛し合っていた。
だけど、顔も分からなくなっていた恋人たちの正体は、
人間と敵対するモンスターだったのだ……

(オークは……討たなきゃ。
 エリナはとっくにそれを始めているのよ……)

これからレイナはどう行動するべきか。
理屈では簡単に分かっている。
乱れに乱れた感情の方を、どうして良いのか分からない。
レイナはもう泣き止んで、座って俯いたまま床を凝視していた。



--


エリナとオークが血みどろに闘っている。
レイナが俯いて何かを暗く呟いている。
近衛兵と巫女たちが、相変わらず膣や肛門に中出しされて泣いている。

刃だけになった魔剣は、
床に倒れてぐったりと様子を眺めていた。
彼が目にする人間たちは、いつの時代もみな不幸そうだった。

世のため人のためにと、教えられたとおりに頑張ってきた。
でも人々が幸せそうな顔をするのは夢の中だけだった。
正義とは夢想なのだろうか。
それともやっぱり、魔剣は根本的に間違っていたのだろうか。
エリナが教えてくれるといった「答え」が気になって仕方なかった。

折れた部分から大量出血のように魔力がこぼれて
魔剣の意識が薄くなる。
生きるとか死ぬとかには特に意味も感じていないが、
目的が果たせなかったことだけはとても残念だった。

何百年もの業を重ねて、けっきょく人に迷惑をかけただけだった。
来世があるならもう少し上手くやりたいものだと
魔剣はぼんやり考えていた。


--


「こんのぉ……食らえっっ!!」

剣とは、線で相手の身体を断つ武器だ。
それに対して槍というエリナの武器は、点で急所を刺す武器である。

オークという亜人は骨や臓器の再生力がきわめて強く、
そのため人間に比べて、急所と呼べる場所が圧倒的に少なかった。
槍を相手に戦う場合、脳と心臓だけを守っていれば何とかなってしまうのだ。
槍はオークを倒すのに向いてない。

「ちぃぃっ……弱っちいくせに、しぶとさだけはゴキブリ並ね!!」

エリナの槍術はオークたちを圧倒するが、なかなかトドメに至らない。
オークたちは負傷するたびに前衛を交代し、
代わる代わるに戦いながら、エリナを刃物で包囲していた。

オークの死者はまだ出ていない。
しかし血は大量に流されている。
エリナは苛立ち、オークたちは仲間の負傷に激高し、
ますます戦いは荒々しさを増していく。

「人間タオセ……!!」
「カコメ! 殺セ!」
「はんっっ!!
 やれるモンならやってみなさいよ!!」
「ゥォオオオオオオオオオッ!!」



夢から覚醒すると、さすがにオークたちは戦士の一族だった。
決して農民のような素人剣法ではなくて、
理にかなった立ち回りでエリナを囲み、
同士討ちをしないよう連携しながら打ち込んでくる。
しかしエリナの水準から見れば隙間だらけだ。

 一撃目は右にかわしてオークの脇腹を突こう。
 二撃目は別のオークが上から打ち下ろしてくるのがバレバレだから、
 ワザと引きつけて目を潰してやろう。

言葉にして思考するわけではないが、
エリナの脳内ではコンマ何秒単位で数手先まで読んだ視覚が構成される。
レイナと戦ったときはまるで逆で、相手の隙が未来に確定していた。

「レイナお姉ちゃん、もうちょっとだけ待っててね!
 くっさい家畜は、エリナが全部片付けてあげるからっ」

どしゅっ、ずんっ、ずばぁっ
「グオオオオオォ!?」
「アッ!! ギャアアアアアーーーッ!?」

凶暴な殺人蜂となったエリナが、
オークの群れの中をブンブン飛び回って巨大な針で刺しまくる。
オークの悲鳴と鮮血が飛ぶ。

その時。
エリナに名前を呼ばれて反応し、
俯いていたレイナもゆっくり顔を持ち上げた。



『レイナお姉ちゃん』
夢の中と変わらないその声に、レイナはちょっと安心したのだろうか。
妹はオークと戦っている。
床に倒れた魔剣の残骸と、自分を取り囲む全裸のオークたち。
もう幻の霧もただよわず、レイナの世界はくっきりとした輪郭線を保ち続けた。

「グォオオオオッ!!」
一頭のオークが深手を負って、レイナの前で赤い血潮を飛び散らす。

「たっ、大変! 手当てしなきゃ!?」
レイナは思わず立ち上がってから戸惑った。
何で、オークに手当をするのだ?

夢で起こった色んな記憶の向こう側までさかのぼり、
夢の前にやりかけていた仕事のことが思い出された。

レイナもエリナと同じ、オーク退治のために森に入った。
そして彼女は、かつて三頭のオークを問答無用に殺した。

「そうだわ、私はまだ仕事の途中……」
暗い森を根城にすみつき、
女をさらっては孕ませてしまう邪悪なオークを討たねばならない。
レイナが引き受けた仕事とは、オークの手当なんかじゃ無かった。



「私……は……」

レイナはゆっくりと剣を抜く。
オークたちは何の警戒もなしに、そんなレイナを見守っていた。
亜人たちは、てっきりレイナが
エリナと再び戦うために剣を抜いたものだと考えていた。

しかしレイナは剣の切っ先をオークに向けて、迷いに満ちた殺気を放つ。
ここで初めて、亜人たちは困惑の表情でどよめいた。

「レイナ、人間の味方スルのカ? ナゼ?」
「な……ナゼって、そりゃ……!」

レイナもまた困惑している。
オークたちはどういう筋道でそんなことを言うんだろうか。
レイナは人間なのに、ナゼもくそも無いだろう。
人間とオークは滅ぼし合う間柄の敵なのだ。

正しいことをしているはずなのに、なぜ今レイナの心は、
家族に剣を向けているように苦しいんだろうか。
まるであの魔剣のようにレイナは悩んだ。
(違う。 私は何か間違っている……!)
考えなければ。いったい何がずれているのか。



レイナは剣の切っ先を下げて殺気を消した。
オークたちの安堵が伝わってくる。

「レイナ……!」
「レイナ!何ガドウシタ!?」
(ああ、そうか……)

レイナ、レイナと呼ばれるうちに、何がずれているのかが分かった。
オークたちにとって、レイナは人間以前にレイナなんだと。
人種や肩書きは彼らにとって関係なかった。
オークたちは自分の心に従って敵と味方を決めている。

でもレイナはそうじゃなかった。
人間社会はオークを殺したがっているが、
レイナ個人としては、殺したい、殺してしまえと思えるほどに
オークの肉体を斬る理由がなかった。

むしろ戦いたくない。
レイナの立場とレイナの心が一致せずにずれていたのだ。

レイナはオークたちと毎日肌を触れあって、子供まで作って一緒に育てた。
それはまさに家族というものじゃないのか?
夢はレイナ一人で見ていたのではない。オークのみんなと一緒に見たのだ。
そんな相手に剣を向けたりしたら、心が苦しくなるのは当然じゃないか。



かといって、オークの側につくとして、
人間たちを――エリナをこの手で斬って捨てるなんて
選択肢もあり得なかった。

「ごめん……私、どうしたら……」

そのとき。
「びぇぇぇえええっ!!」
レイナとオークたちが重い沈黙を続けるうちに、
とうとう子供が泣き出してしまった。

(そっ、そうだ! おっぱいをあげてる最中だった!)

レイナはあわてて剣を乳房に持ち替えて、
どこで泣いているんだろうかと息子の姿を目で探す。
剣をオークに向けるより、ずっと自然に身体が動いた。

「あぁぁーーっ!! あーあーーっっ!!」
息子はオーク戦士の腕に抱かれて泣いていた。

やっぱり何度見ても豚の子だ。
でもレイナは少しも嫌悪を感じなかった。
彼女の乳房が子供を求め、熱くみなぎって疼いている。
レイナの血と心は、明らかに坊やと繋がっていた。

「うぇぇえええっ!! あぁぁぁああっ!!」
子供には夢も現実もまだ分からないけど、
今まで幸せ一色だった空気が急に冷たくなって怖かった。
彼は必死に助けを呼びながら、母を求めて涙をこぼした。

「かぁーかぁ! かぁーかぁあああ!!」
「あっ……!!」

子に呼ばれた母の心が、理解の雷に打たれた。
自分は今どうあるべきなのか。
身を震わせる硬直の中で、レイナはハッキリ答えを出した。

その瞬間に、レイナの夢は本当に終わった。



SCENE 5 「親子で見た夢」 に続く





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[4-4 2012/2/25]





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